小・中学生から電子辞書を使うお子さんが増えてきました。スマホを使ってネットの辞書サイトで調べても、辞書の説明文の一部しか表示されませんし、正確性に疑問のあるサイトも見受けられます。電子辞書なら正確な情報を得ることができ、一瞬で複数の辞書が引けるので、学習の効率から考えても良い勉強道具になります。
また本と電子辞書の中だけというところで、勉強に集中することも大切です。
勉強の内容も、中学校卒業までに学習する英単語数が2003年に比べ約2倍に増加するなど、暗記学習の重要度が高まっていますから、調べ物は早く済ませて、考えたり覚えたりに使う時間を増やしたいものです。
いま中学生向けの電子辞書で人気の機種は、
カシオのEX-word(エクスワード)XD-SX3800(2020年発売、最新機種)、
XD-SR3800(2019年発売)、
シャープのBrain(ブレーン)PW-AJ2(2019年発売)です。
今回はこの3機種の本体・収録辞書類・学習書・学習ツールの違いや、お得に購入できるお店をご紹介します。
カシオとシャープ、どっちがいい?
まずはカシオ機とシャープ機の違いから。
カシオ機は電子辞書の国内売り上げシェア61.1%を占め(2018年BCN調べ)、定評のある辞書類の選定に長けています。学習書も豊富で、検索機能、キーボードとも使いやすいものになっています。起動が速く、キータッチが軽くて押しやすく、入力の反応も速いので、調べ物がおっくうになりません。
一方のシャープ機は、新語を収録した辞書を採用する点と、液晶画面を360°折り返し、スマホのように片手で持って暗記などができる点が特徴です。
これからの英語教育や入試では、読む・聞く・書く・話すの4技能を活用するコミュニケーション能力が求められます。辞書で単語の意味を調べるだけではなく、自分の意見を英語で表現する練習が必要になります。英和辞典・和英辞典の例文、英英辞典の定義や例文を参考にして表現力をつけたり、百科事典で文章の内容を深めたりできることが、電子辞書の役割として大切になってきていると思います。
そして発音。日本語は書くことが中心の言語ですが、英語は話すことが中心の言語です。日本語は漢字を覚えることが大切ですが、英語は発音できることが大切です。発音ができなければ聞き取ることもできないままになってしまいます。
これらの点を踏まえると、これから英語の発音や文法に本格的に取り組むことになる中学生にとって、書く・話す・聞くためのコンテンツが充実しているカシオ機のほうが、おすすめできます。
それぞれ英語系アプリを収録しているので、比較してみます。
カシオは、「イングリッシュトレーニングプラン」というプログラムで学習します。メインの「トレーニングジムプラン(トレジムプラン)」は「苦手な英語、まずはここから!」「中学英語初~中級編」「中学英語の総まとめ(ボキャブラリー編)」などの学習目的やレベルに応じた教材セットが用意されています。
最初に自分に合ったプランを選ぶと教材が表示されるので、順番に進めていきます。
目標を達成するまでの学習スケジュールが立てられ、進捗状況を確認しながら計画的な学習ができるのが利点です。
シャープ PW-AJ2は、「Brain Learning」という学習プログラムで、自分で何をするかを考えて選ぶ方式です。4技能それぞれの内容は以下のようになっています。
(1) 聞く
NHKラジオ講座をリスニング(速度調節をして聴く)、リピーティング(1文聞いたら英文を見ながら続けて発音)、シャドーイング(聞いた英文を文字を見ないで発音)
(2) 話す
ATR CALL for Brain
ネイティブの音声をまねて発音練習。
(3) 読む
OXFORD BOOKWORMS ベストセラー厳選集
ジョン・F・ケネディ
嵐が丘 など
(4) 書く
英作ボード スピーキングプラス
例文を参考にして英作文。
収録辞書の違い
収録辞書は、どれも小学校高学年から中学生までしっかり使える、5教科に対応したコンテンツ(辞書・参考書類)がそろい、毎日の授業の予習・復習・高校受験に役立ちます。新学習指導要領にも対応しています。
カシオ エクスワード XD-SX3800には220コンテンツ、XD-SR3800には170コンテンツ、シャープ ブレーン PW-AJ2には150コンテンツ収録。「中学生用」の電子辞書を作る理由は、中学生に理解できる辞書をそろえるためです。社会人用とは普段使いの辞書からして違います。
使用頻度の高い国語系と英語系について、それぞれ特徴的なコンテンツを採り上げて詳しく解説していきます。
シャープBrain(ブレーン)PW-AJ2 中学生モデル(2019年発売)
2020年発売、2019年発売のPW-AJ2、2018年発売のPW-AJ1、ともに辞書の構成は同じです。
国語系は、かなり充実しています。国語辞典は、中学生くらいから使える『明鏡国語事典』のほかに、現代語(新語)に強い大辞典の『大辞林(旧スーパー大辞林』も収録しています。小学校用の『例解学習国語辞典』もあるので、復習にも使えます。
古文・漢文も『全訳古語辞典』、『漢字源』を採用しているので安心です。
次に、英語系です。
中学生向けの英語の入門学習辞典は、『ベーシックジーニアス英和辞典』のみです。和英がない点と、引き比べ用の英和がないのが残念です。上級学習辞典(中辞典)は、『ジーニアス英和・和英辞典』を収録。高校生用ですが、定評ある辞典で、これが普段使いになりそうです。
小学生向けの『レインボー英和・和英辞典』も収録されています。オールカラーのイラストを載せて、絵から英語を覚えられます。
他に、英検対策や単語学習、スピーキングの練習のための発音チェック機能もついています。
英語系については、中学生用の辞書が少なく、受験や検定に特化した勉強に向いた構成です。
カシオEX-word(エクスワード)XD-SR3800 中学生モデル(2019年発売)
まず国語系。国語辞典は、中学生くらいから使える『明鏡国語事典』と、『旺文社 標準国語辞典』。大辞典は、国語辞典+百科辞典の『デジタル大辞泉』。古語・専門語・故事・慣用句なども一緒に調べられて便利です。
古語辞典・漢和辞典は『旺文社全訳古語辞典』と『新漢語林』。大学受験まで使えるものです。
英語系は、ブレーン PW-AJ2と比べるとかなり充実しています。
メイン使いは、中学の英語教科書として採用率の高い『ニューホライズン』と同系の『ニューホライズン英和・和英辞典』。見出し別の配置など、わかりやすさで定評があり、囲み記事で文法解説がたくさん入っているので、参考書的に使えます。教科書が『ニューホライズン』の場合は特に使いやすいでしょう。
そして『初級クラウン英和・和英辞典』も収録。この系列の教科書も多く採用されています。1.7万語という、このクラスでは膨大な用例が載っているので、英作文のときに重宝します。
さらに中学生と高校生の中間くらいのレベル(初級学習英和辞典)の『エースクラウン英和辞典』。見出し語数は5万と多く、説明は詳しいので高校生まで使え、難関高校受験にも対応できます。
また、高校レベル(上級学習英和・和英辞典)の『ジーニアス英和・和英辞典』も収録されているので、中高一貫校でも使えます。
英英辞典は『ロングマン現代英英辞典』。中学生には難しすぎるかもしれませんが、学習英英辞典として最も有名で、定義も平易で使いやすい辞書です。英語に興味のあるお子さんは、興味のある単語から少しずつ読み始めると、英語を理解するのに非常に有利になります。この説明文を参考にして英作文をすることもできます。
カシオはリスニング・スピーキングのコンテンツに強く、マイクで発音がチェックできる「発音トレーニング」や、大人にも人気の『絶対「英語の耳」になる』シリーズや『キクタン』などの単語集、『NHK ラジオ英会話』、中学生用の『NHK ラジオ基礎英語』など、多数収録しています。
カシオEX-word(エクスワード)XD-SX3800 小・中学生モデル(2020年発売、最新機種)
まずは、国語系。
基本的には上記 XD-SR3800の収録辞書と同じですが、さらに追加されているものだけ挙げていきます。
『例解学習国語辞典』はベスト&ロングセラー小学国語辞書で、約36,500語を収録。見出しと意味の説明文の、すべての漢字にふりがながついていて、語の使い分けも載っています。
類語辞典の『日本語コロケーション辞典』と『例解学習類語辞典』は作文など、「こんなことを言いたいんだけど、ちょっと違う」というときや、言葉の使い分けに迷ったときに見ると、どう書けばよいかがはっきり分かります。
『例解学習ことわざ辞典』は、読み物として読んでも面白く、ためになります。
英語系は、中学生用としては最強のラインナップです。
上記 XD-SR3800の収録辞書に加えて、『キッズクラウン英和・和英辞典』もあり、こちらは小学生向きで、復習に使えるものです。
英英辞典は、XD-SR3800では『ロングマン現代英英辞典』で少し難しかったのですが、XD-SR3800では、『ケンブリッジ英英和辞典』になっています。将来の留学や海外勤務に備えたいとか、英語に興味のあるお子さんにも対応しています。英和辞典で意味を調べてもピンと来ないときに、しっかり意味をつかめる辞典です。
英和辞典では英単語の意味を、それに相当する日本語を並べて定義しますが、英英和辞典は英単語の意味を英語で説明し、その説明の日本語訳を併記してあります。英和辞典では同じような意味になって違いがよく分からない類義語も、はっきり分かります。
たとえば、see と look と watch を英和辞典で調べると、それぞれ
see = 「見る, …が見える」
look = 「目を向ける, 見る」
watch = 「注意して見る」
などの訳語が出ています。英英和辞典では、それぞれ
see = 「to notice people and things with your eyes 自分の目で人や物を認める、見える」
look = 「to turn your eyes in the direction of something or someone so that you can see them 見えるように、何かまたは誰かの方向に目を向ける」
watch = 「to look at something for a time, paying attention to what happens 何が起こるか注目しながら、しばらく見る」
と、英語での説明に、日本語訳がつきます。これで、星が見えるときには see、絵を見るときには look、テレビを見るときには watch を使うと、感覚で分かるようになります。
『ケンブリッジ英英和辞典』は、「英英辞典への心理的抵抗をなくし、英語は英語で頭に入れることを助けること」を目的に作られた辞典で、「情報が英語でじかに入ってくる」ので、外国語という感覚が薄れ、使える英語が身に付きます。
英英に興味がある方は、この英英和から始めるとハードルが下がっていいと思います。基になった『ケンブリッジ英英辞典』は中級ですから、長く使えます。
電子辞書本体の違い
次に、本体の比較です。
検索機能
電子辞書の重要な選定ポイントである「検索スピード」は、カシオのほうが速く、ディスプレイ上でのタッチ・選択、手書きで入力する際のタッチパネルの認識、ボタンの反応も良いので、調べ物が早く終わります。
液晶画面
液晶画面は、カシオのほうが明るく、読みやすい画面になっています。文字の大きさはカシオ、シャープとも5段階に調節可能。
キーボード
カシオはボードから突起したキーが押しやすく、キーの反応も良いので、軽いタッチで入力できます。
シャープはキーボード面がフラットで、少し押し込まないといけない感じですが、液晶画面部分を360°折り返して、片手で持って使える便利な構造。電車の中などでスマホのように使用することができます。
バッテリー
カシオは、アルカリ電池式です。単3電池2本で、130時間ほど保ちます。繰り返し使えるエネループ、またはエボルタ充電池も使えて、こちらは110時間。交換も簡単で、気軽に使えます。
また、別売USB-ACアダプターを使ってコンセントから給電したり、別売USBケーブルを使ってパソコンから給電することもできます。コンセントやパソコンから給電する場合、コンセントやパソコンとつないだままの使用となりますが、自宅で電子辞書を使うときには、電池の事を気にせずに使えて便利です。
給電の方法についての詳しい説明は、こちらの記事にあります。
⇒ EX-wordの充電方法と 充電池&型番別ACアダプターは?
シャープのブレーン PW-AJ2は、リチウムイオン充電式です。本体内蔵の充電池に、付属のアダプターを使って充電。1回の充電で約130時間使えます。市販のモバイルバッテリーでも充電できます。
ただ、この充電池はスマホやiPodなどと同様、劣化してくるので、長く使うなら、10年は余裕のカシオがお得になります。
付属品と保証
カシオは、タッチペンと、単3形アルカリ乾電池2本付属。保証期間1年。
シャープは、タッチペン、microUSBケーブル、ACアダプター付属。保証期間1年。
カシオ XD-SX3800とXD-SR3800 本体の機能の違い
XD-SR3800(2019年発売)から XD-SX3800(2020年発売)になって改良された点は次の6つです。
- 最初の画面がカラフルになった
- キーボードの文字が少し大きくなり、見やすくなった
- 単語登録などに使える本体記憶容量が200Mから500Mに増えた
- 液晶画面にブルーライトカット機能がついた
- Wi-Fi 接続できるようになった
- 辞書の検索履歴機能がパワーアップした
それぞれ詳しく見ていきます。
XD-SR3800とXD-SX3800の画面の違い
▼ XD-SR3800
▼ XD-SX3800
XD-SX3800では、最初の画面のアイコンが青に赤が加わって2色になり、壁紙が11種類から選べるようになりました。
XD-SX3800のブルーライトカット機能
ブルーライトカット機能をONにすると、液晶画面のブルーライトを約30%カットできます。黄味を帯びて、目が疲れにくくなります。
設定方法は、ホーム設定――液晶パネル――ブルーライトカット設定とたどって、ONを選びます。
XD-SR3800にするなら、液晶保護シートを購入する際に、ブルーライトカット機能の付いたものにするといいですね。おすすめはこちらの記事に。液晶画面の大きさが同じなので、XD-SR3800、XD-SX3800、XD-SX4800、XD-SX4900共通で使えます。
⇒ XD-SX4800・XD-SX4900の保護フィルム(シート)はコレ!
Wi-Fi 接続で、できるようになったこと
追加コンテンツ(辞書)を購入した際に、PCやスマホを経由することなく、直接ダウンロードできるようになったことです(インターネットに接続して他のコトはできませんので、勉強に集中できます)。
XD-SR3800にするなら、追加コンテンツ(辞書)は、別売りのUSBケーブルで電子辞書とPCとをつないで転送するか、microSDカード版を購入して、電子辞書側面のスロットに挿入して追加することになります。microSDカード版の追加コンテンツは、Amazonなどの通販サイト、カシオのホームページなどで購入できます。
型落ちで安くなった機種を選ぶ際の注意点
2018年発売のXD-Z3800までは、5.0型 528×320ドットの液晶画面でしたが、
2019年発売のXD-SR3800から、5.2型 864×480ドットになり、フォントもビットマップ式から、スマホやパソコンのような美しい「アウトラインフォント」のイワタUDゴシック体、イワタUD明朝体になり、格段に文字が読みやすくなりました。毎日使う辞書ですから、読みやすさは大切ですし、勉強の効率にもつながります。この点で、XD-SR3800以降のものがおすすめです。
価格も、XD-Z3800の最安値が23,800円、XD-SR3800が20,776円(2021年4月23日現在)と、新しいほうが安くなっています。
まとめと、辞書本体の色と、お得に購入する方法
まとめると、収録辞書類や検索機能で選ぶならカシオのEX-word(エクスワード)XD-SX3800(最新機種)、
1年型落ちで本体の機能が改良前のものですが、よりお得なのが XD-SR3800、
スマホのように片手で持って使える携帯性や価格の安さで選ぶなら、シャープのBrain(ブレーン)PW-AJ2です。
辞書本体の色と、お得に購入する方法
<2020年発売 カシオ EX-word XD-SX3800>
カシオのエクスワード 小・中学生モデル XD-SX3800は電子辞書本体の色を、WE(ホワイト)とGN(グリーン)から選べます。
最安値は色によって違いますが、Amazonの27,000~28,570円です(2021年5月1日現在)。
⇒ XD-SX3800 Amazonで現在の最安値を見る
また、現在Amazonでは、XD-SX3800に「マスクケース」のついたオリジナルセットがお買い得です。
5月31日まで、32,500円が4,000円引きクーポン+325ポイントつき、実質28,175円で購入できます(在庫限り)。
□¥4,000 OFFクーポンの適用 にチェックを入れてから、カートに入れてください。
在庫が少なくなっている色もあるので、ご購入はお早めに。
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⇒ XD-SX3800 楽天で現在の最安値を見る
<2019年発売 カシオ エクスワード XD-SR3800>
カシオのエクスワード XD-SR3800は電子辞書本体の色を、WE(ホワイト)、GN(グリーン)、BK(ブラック)から選べます。
最安値は色によって違いますが、Amazonの20,640~27,100円です(2021年5月1日現在)。
在庫が少なくなっている色もあるので、ご購入はお早めに。
⇒ XD-SR3800 Amazonで現在の最安値を見る
⇒ XD-SR3800 楽天で現在の最安値を見る
<2019年発売 シャープ ブレーン PW-AJ2>
シャープのブレーン PW-AJ2は、電子辞書本体の色を、W(ホワイト)とG(グリーン)から選べます。
最安値は色によって違いますが、Amazonの21,980~22,256円です(2021年5月1日現在)。
在庫が少なくなっている色もあるので、ご購入はお早めに。