高校に入学すると、学校で電子辞書の購入を勧められます。
「学校販売モデルまたは同等の市販品」を推奨する学校が多いので、その範囲内で、機能や辞書内容の優れた電子辞書を安く購入する方法をご紹介し、収録辞書、電子辞書本体の機能、保証、付属品などの違いについて詳しく解説していきます。安く購入できるお店もご紹介します。
学校販売モデルと 同等の市販モデル
2023年春に学校で販売されている電子辞書の1つ、2022年1月発売の シャープのBrain(ブレーン) PW-ES8300 は、6教科14科目に対応した辞書・参考書類(コンテンツ)がそろい、授業の予習・復習・大学受験・留学準備に使えます。液晶画面を折り返し、スマホのように片手で持って操作できる「360度オープンデザイン」が特に人気ですが、書店・学校の購買・生協を通じて販売される「学校販売モデル」のため、全国一律32,000円の定価販売です。
一方、家電量販店などで販売される「市販モデル」は、本体の機能はまったく同じで、収録辞書類がわずかに違うものです。こちらは価格変動があって徐々に値下がりします。
学校販売モデル PW-ES8300 と同時に発売された市販モデル PW-H2 は、初値42,900円から下がってきましたが、まだ最安でも PW-ES8300 と同じ32,000円です(2022年4月8日現在)。保証が長く、専用ケースがつくので、PW-ES8300のほうがお得です。
市販モデルの1年型落ちの機種 PW-H1 になると、1万円ほど安く購入することができます。
そこで、学校販売モデル PW-ES8300 と市販モデル PW-H1 を比較し、収録辞書、電子辞書本体の機能、保証、付属品などの違いについて詳しく見ていきます。
学校販売モデルPW-ES8300と 市販モデルPW-H1の違い
PW-ES8300とPW-H1 本体の仕様の違い
発売日は1年違いますが、本体の仕様はまったく同じです。液晶画面、本体のサイズ、重さ、記憶容量、連続使用時間(約140時間)のすべてです。
収録辞書類の違い
2021年発売の市販 PW-H1から 2022年発売の学校販売 PW-ES8300へのバージョンアップで、収録されている辞書類が少し入れ替わっています。
全体のコンテンツ数では241から225に減少。入れ替わっている分を詳しく見ていきます。
英語系コンテンツの違い
英和・和英辞書はどちらも高校生用の学習辞典として定評のある『ジーニアス』・『ウィズダム』・『オーレックス』がそろっています。
PW-ES8300になって増えたのは1冊。研究社の『コンパスローズ英和辞典』です。この辞書は『ライトハウス英和辞典』の上級学習辞典で、単語の語源を出発点として派生した意味を図解したり、同じ語根の単語を集めたりして覚えやすくしてあり、ポライトネス(敬語などの使い方)を解説してあるのが特徴です。
英英辞典2冊は同じです。
英文法は14冊から10冊に減っています。
減ったのはアルクの『英文法のトリセツ』のじっくり基礎編、とことん攻略編、中学レベル完結編と、学研の『動詞活用マスタードリル』です。
『英文法のトリセツ』は英文法が苦手な人のために、基礎から分かりやすく解説されているものです。
単語・熟語では、旺文社の『TOEIC®テスト ボキャブラリー730』と『TOEIC®テスト イディオム730』が減って34冊から32冊になっています。
「大学入試共通テストの英語試験」が「民間英語試験」と併用されていますが、ここからTOEICが撤退したたためと思われます。
どちらも中学の復習レベルから難関大学受験レベルまで+留学準備用TOEFL+GTEC+英検5級から1級まで網羅されていて、大学受験については違いはありません。
ただ、その先の入社試験時に英語の運用力の証明として使うことや、実際的なスピード感を身につけるということを考え、TOEICに少しずつ慣れていきたいというのであれば、PW-H1 のほうがいいですね。
人気の英語学習アニメ『リトル・チャロ』の volume 1から3までを含むリスニング7コンテンツと、英語学習ソフトなど3コンテンツは同じです。
英語(検定・英会話等)では、TOEIC関連の参考書・問題集が7冊から3冊に減っています。
減ったのはアスク出版の『はじめてのTOEIC® L&R テスト全パート総合対策』と、アルクの『新TOEIC®テスト文法特訓プログラム』『TOEIC®TEST 文法・語彙出るとこだけ!問題集』『1日3分 TOEIC® Test Part5』です。
英会話関連は2冊から1冊に減っています。
アスク出版の『ABOUT ME FOR STUDENTS 10代から英語で自己紹介ができる本』が削除になっています。自分について発信する力というのは、これからますます大切になってくるので、これも PW-H1 のほうがいいですね。
国語系コンテンツの違い
国語系のコンテンツは48冊から47冊へ減っています。
最も使用頻度の高い国語辞典7冊は同じで、普段使いの『新明解国語辞典 第七版』や、『大辞林 4.0』などが収録されています。
国語学習の参考書9冊も同じ。古語・古典学習の『旺文社全訳古語辞典 第五版』など6冊、和歌・俳句の3冊も同じです。
違うのは、漢字学習。『新漢語林 第二版』と漢字検定対策4冊は同じですが、学研の『常用漢字の難読辞典』が削除されています。難読辞典は受験に直接関係がなさそうですが、難関大学受験には趣味的問題として出題されることがあるので、ちらっと見ておくといいと思います。志望大学の過去問題集に難読漢字の読みを問うものが多ければ、得点源になります。
学習コンテンツの違い
社会は『山川 一問一答』の 地理、倫理、現代社会、政治・経済の4冊が、『Z会 地理B用語&問題2000 改訂版』『用語集 倫理 新訂第4版』『用語集 現代社会+政治・経済〈’21ー’22年版〉』に変更になっています。
理科・数学・大学入試対策は同じです。
百科事典・図鑑の違い
百科事典・図鑑では、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版』は同じですが、『動物図鑑』と『植物・昆虫図鑑』が削除されています。
収録辞書類のまとめ
収録辞書類で学校販売 PW-ES8300 のほうが良いのは、『コンパスローズ英和辞典』が追加収録された点、
市販品 PW-H1 のほうが良いのは、TOEIC関連のコンテンツや『英文法のトリセツ』、『英語で自己紹介ができる本』、『難読事典』、動植物図鑑が収録されている点です。
学校で『コンパスローズ英和辞典』を指定されている場合以外は、PW-H1 のほうがお得感があります。
保証・付属品・色展開・価格の違い
<学校販売モデル PW-ES8300 のほうが良い点>
・3年保証(市販は1年)
・液晶割れ学割修理に対応
・専用ケースつき
・名前シールつき
・Brain活用マスターブック付属(市販はシャープのホームページから取扱説明書をダウンロードすると便利)
<市販モデル PW-H1 のほうが良い点>
・辞書本体の色をホワイト、ブラック、ネイビー、レッド、バイオレットの5色から選べる(学校販売はホワイトのみ)
・型落ちのため、安く購入できる
・販売店によって、独自の特典が付いたりキャンペーンによって値引きされる
授業や大学受験でも不便になることはなく、兄弟のおさがりを使用している生徒さんもいらっしゃいますから、安く購入したい、色を選べるほうがいいという場合には、おすすめです。
<シャープ Brain(ブレーン)PW-H1>
電子辞書本体の色によって値段が違いますが、2022年4月8日現在、PW-H1の最安値はAmazonの21,200~22,000円。
在庫の少なくなっている色もあるので、ご購入はお早めに。